top of page

森の魚

夜の森を歩く時、まるで樹の間を縫って泳ぐ魚のよう。
ゆったりと流れる、少し湿った空気。
 静まりかえった中に、微かに聞こえるくぐもった音。 
足音は落ち葉のクッションが優しく受け止めてくれる。
 風が吹けば、樹々全体が優しく揺れる。
 
森の魚は私のこと。 
だんだんと、水の音が こぽこぽ と聞こえてくる気がする。
bottom of page